4-73.車中会話
2008 / 07 / 31 ( Thu ) 寝ている彼女に別れを告げ、立ち上がって靴を履き、外に出る。扉を開けるときの大きなきしみ音が人気のない廊下に響く。彼女の寝ているベッドに名残惜しく視線を送りながら、また大きなきしみ音を立ててオートロックの扉を閉めた。 まだ朝早いので人影が少なく、車も通らない。5分ほどしてようやく1台を見つけたが、先のほうで別の人に拾われてしまった。しばらくしてまた空車を見つけたので手を上げるが今度は乗車拒否。格好を見れば長距離乗りそうな雰囲気のはずだけど、ホテルの前につけるタクシーと違って、この辺りを流すタクシーは外人慣れしてなくて面倒に思うのかもしれなかった。 ふと振り返ると後ろの建物の入り口で体格の良い男がぼんやりとこちらを見ている。近所の人なんだろうけど何だか嫌な感じだ。スーツ姿でキャスター鞄を持つ俺の格好はこういう住宅街では浮いている。俺のことを不審に思って睨んでいるのかな。 と、その時、男が不意に俺の後ろを指差した。つられて振り返るとタクシーが信号待ちをしている。ラッキー。タクシーに駆け寄ってどんどんと窓を叩く、運転手と目が合ったのを見て後部座席のドアを開ける。カバンを放り込んでから後ろを振り返り、先ほどの男にお礼のつもりで手を振ると、男は無反応のまま建物の中に戻っていった。 扉を閉めて運転手に「浦東机場」と言う。走り出しながら何だかごちゃごちゃ言っている。どうも上海に空港が二つあるけど浦東でいいのか、と聞いているようだ。 「不是虹橋。我要去浦東机場」 と答えると 「好的」 とようやく納得した様子。で、また話をしてくる。ジェスチャーからして今度は道順を説明しているようだ。頷いて見せると。また質問。ジー点てな言葉が聞き取れたので「9点」。それなら大丈夫、間に合うよ、といった様子でようやく会話が終った。 時々こういう人懐っこい運転手に当たる。でも俺は相変わらず語彙は少ないので今みたいな会話でほぼ限界なのだった。 高速道路を走ってると運転手がまた話しかけてくる。左前を指差すので見てみると、リニアが早回しのようなスピードで走り去るところだった。運転手が自慢げな笑みを浮かべながら何事かを聞く。大方乗ったことあるかどうか聞いてるんだろう。 “乗ったことある”と言いたいけど何て言ったらいいかわからない。面倒臭くなって。「没有」とだけ答えると、運転手は勝ち誇ったような声を上げた。 ちくしょう、本当は乗ったのに。 |
4-72.最後の接吻
2008 / 07 / 30 ( Wed ) 翌日、彼女は学校の試験だ。 これに合格すれば次のレベルに上がれる、それが終れば晴れて通訳の資格獲得ということらしい。あまり邪魔はできないし、俺も年末で忙しいので朝一番の便で帰ることにしていた。 早朝、目覚ましで起きた俺は布団を抜け出して一人、支度を始める。電気ストーブをつけたが部屋は簡単には暖まらない。寒さに震えながらとりあえず服を着込んでから歯を磨く。昨晩は何だかんだで遅かったので、彼女はまだ布団で爆睡中だ。起そうかと思ったが思いとどまった。今日の試験を前に少しでも眠っておいた方が良い。 理由はそれだけではなかった。今月が生活費をあげる最後になるという話を結局、せずじまいだった。どこかでこの話はしなければならない。でも、朝の慌しい中にちょっと話をしたくらいで彼女が納得するとは思えなかった。でも、金を渡して何も言わずに去るのもまた何か違う気がする。 昔彼女が援助を欲しがったときに、ちゃんと会って話をしない態度をなじったが、何のことはない、言いにくい話が俺の方にある時には、俺だって直接顔を合わせて話したくないと思っているのだった。 大きな音を立てないように荷造りをし、洗面台に向かって身なりを整える。雪肌精の青い容器を倒さないように自分のムースの缶をとって髪をいじる。この青は俺の好きな青だ。雪肌精って中国っぽい名前だけど日本の製品なんだよな。でも何て読むのか未だによくわからない。わからないと言えば、その下にあるキティの入れ物の中には何が入っているんだろう。手を洗って洗面台脇の湿ったタオルで手を拭き、机に座って置手紙を書き始めた。 ちゃんと説明しようとして長々と書いたが、何だか仰々しい。書いた紙を破って捨て、頭を切り替えて、新しい一枚に短く用件だけをしたためた。 “よく寝てるので起こさずに帰るよ。これは今月の分。約束したとおり、これが最後のお金だ。試験頑張ってね” 書き終えた手紙を生活費の入った封筒とともに机の上に置き、重石代わりに右上の角をプーさんのマグカップで押さえる。ベッドに近づくと彼女はまだ眠っている。布団から覗いた裸の白い肩が朝日に照らされて輝いている。頭を撫でると彼女が寝返りを打ち、目をとじたまま聞く。 「Are you going now?」 「Yes, I have to go now. See you」 と俺が言うと、目を閉じたまま首に手を回してキスしてきた。 彼女にとっては普通の挨拶だろうが、実際にはたぶん最後のキスになるかもしれない。そう思うと心がチクリと痛んだ。 思わず、一回のキスで離れる彼女を再び抱き戻して、もう一度唇を重ねた俺だった。 |
4-71.大同小異
2008 / 07 / 29 ( Tue ) カラオケで歌っているうちに夕食の時間だ。 流石の彼女も午後の間中ずっと食べ続けなので、もはやそんなに食欲もない。ということで、食事もできるバーみたいなところに行くことにした。向かったのは瑞金二路×南昌路にあるバー。24時間開いているバーというので彼女が調べていた店だ。 二人で窓際の席に陣取る。 注文がてら彼女が店員をたらしこみにかかる、やがて笑い声が上がる。 オーダーが終る頃にはいつもの様にうまく手なずけることに成功していた。 店は薄暗く、木の感触が心地よい。低い音量で流れるジャズを聴きながら彼女と話をしている。店の前に止まっているアウディが風景によく馴染んでいる。 他愛もない会話を続けながら別ことを考えている。西安は遠いよなぁ、と改めて思う。出張のついでに遊べるような状況では最早ないのだ。一体全体、どうしたものか。 実際、そろそろ潮時という気もする。 KTV小姐と知り合って、一緒の部屋も持って、旅行もして、もう十分じゃないか。上海でまた新しい小姐を見つければいいのだ。今度は中国語しか喋れない小姐もいいかもしれない。同じ事をしても、中国語だけだったらまた全然違うだろう。お楽しみとして考えるんだったらその方が利口な遊び方だ。 ビールがなくなったので、店員を呼んでワイルドターキーを頼む。慣れない中国語でメニューを指差しながら頑張る俺を彼女が面白そうに眺めている。彼女が手なずけてくれているので店員は凄く親切だ。“よくできました”と言わんばかりの笑みで「好的」と一言って席を去る。 そして酒のグラスを持ってくる時に、頼んでもいないのに新しい紙ナプキンを持ってきてくれた。 「いい店だよね」 と言うと、 「特に人がいいわ」 と彼女が答えた。ほんとだよな、と頷く俺。 知り合って1年9ヶ月。未だに細かい点で通じないことも多いけど、こうして何とはなしに通じる感覚もあるのだ。 小異を捨てて大同に付く、という言葉がある。中国人はこの言葉が好きなんだそうだ。巨大で内部に様々な矛盾を抱える国らしい考え方だ。そこに染まってもいいかなとも思う。また深く付き合っていけばさらに見えてくるものもあるだろう。 しかし、それにしても西安は遠いよなぁ。 悩みながらも上海の夜は徐々に更けてゆく。 |
4-70.我行我素
2008 / 07 / 28 ( Mon ) 週末の昼下がり、二人で久光の売り場をぶらぶら見て回る。普通女の子と一緒にデパートなんかにいくってことは、ウインドウショッピングに付き合わされるってことなんだけど、彼女の場合は服にもアクセサリーにもほとんど興味を示さない。何にも絡まないもんだからあっという間に全てのフロアを見終えてしまった。 「ウインドウショッピングとかしないの?」 「だって買いたいものないもの」 取り付く島もないが、別に怒っている訳でもない。普通に興味がないようだ。 「じゃぁ何のために来たんだよ」 「あなたが来たいって言ったんじゃない」 まさにその通りだ。返す言葉もない。 「私はお菓子を買ったからもう十分」 結局それかよ。 まだ午後も早い時間だ、これから一体何をしようか。途方に暮れる俺に彼女が助け舟。 「じゃ、またカラオケ行こうか」 ということで復興公園のカラオケへレッツゴー。 冬にしては暖かい日差しの日で、外にいると気持ちが良いんだけれども、そんなものにはお構いなしに窓もないカラオケボックスに潜りこむ。で、そこで何をするかというと彼女は食べている。久光で買ったスナック類はタクシーの中で半分くらい胃袋に消えているので、足りない分はバイキングから持ってきた料理だ。で、俺は歌い続ける。日本の歌を。 歌の合間には中国の歌手らしき人のコンサート映像が流れている。見ると小太りの男のようだ。ぎらぎらの衣装を着ている。日本で言えば紅白に出てくる大物歌手みたいな趣だ。ラップ調の歌を踊りながら歌う若いグループとは訳が違う、重厚感が漂っている。イントロが終わって歌が始まる。凄い高い声だ。 「すごいボーイソプラノだね彼は、有名な人?」 「彼じゃなくて彼女よ」 「ええっ?」 目をこらして良く見るが、見れば見るほど微妙な姿だ。 「だって角刈りじゃない」 「ショートヘアっていうのよ」 そうじゃないだろこれは。っていうか、江原啓之に似てるんだけど。とツッコミたかったが彼女に通じるとは思えなかった。 また彼女が部屋を出て料理を漁ってくる。ここに来てずっと食べ続けだ。そろそろ夕方だけど、この後、夕食に行くつもりなんだろうか?他人事ながら心配になり、思わず子供を諭すような言葉が口をつく。 「夕食前にあんまり食べちゃ駄目だよ」 「いいじゃないの、私の勝手でしょ」 志村けんの替え歌みたいなことを言いながら彼女がラーメンをすする。 そう、ここは個人主義の国なのだった。 |
小姐写真114
2008 / 07 / 27 ( Sun ) ここでまた小姐写真のコーナーです。
お蔭様で今回でなんと第114弾~ この小姐は第31話と第63話で使いました。 もっと使っても良いかなと思ったんだけど、表情が結構似た感じなのであまり数は使えなかったですね。でも、楽しそうな表情なので好印象でした。 本人のブログとかではなくて、確か中国人の男のコレクションにあったやつだったと思う。糖菓系(だったかな?)とか書かれていたので調べたんだけどよくわかりませんでした。 背景から考えて、多分日本人ではないと思うんですけどねぇ。 ということで明日からはまた体験談の再開です。 ★ 小姐写真117で続報を掲載しました。 |
4-69.就職決定
2008 / 07 / 26 ( Sat ) 翌日はだらだらと過ごす。 12月は日本での仕事が忙しく、やや疲れ気味だったのだ。この前旅行に行って頑張ったこともあるし、今回はぐうたらな週末にしたいと申し出ていた。もしかしたら最後になるかもしれない逢瀬だったが、だらだら上海も俺たちらしくていいかなと思った。 昼過ぎから街に出る。ちょっと違う場所にということで、デパートに行ってみる。久光というデパートだ。少し手前でタクシーを降りて、二人でぶらぶらと歩いてゆく。12月にしては暖かく晴れた日で、外を歩くのが心地よい。 久光は結構大きなデパートだ。来るのは初めてだが、俺が愛読している上海在住の日本人のブログでよく出てくるので何となく親しみがある。駐在の人と同じ場所に来ちゃったよ、小姐同伴で。出張組にしては結構頑張ったよなぁ俺も。 彼女がお腹が空いたというので、まず地下の食品売り場でスナックを探す。小腹が空いた程度のはずなのに、買うお菓子が一つじゃないのが彼女らしい。レジの小姐は俺の分だと思ってるだろうが、全部彼女の分なのだ。 折角なので上の階にも上がり、売り場を見て回る。歩きながら彼女が話し始める。 「もしかしたら私、上海を離れるかもしれない」 「郷里に帰るの?」 親と仲直りしていたと言っていたのを思い出してそう聞くと、彼女は首を振る。 「父の会社を手伝うかもしれない」 「商売やってるんだっけ?」 「旅行代理店なの。今度、新しい支店を出すのでそこに来ないかって」 「どこ?」 「西安」 おぉ、随分と遠いねそれは。 「いつから?」 「来年の半ばには向こうに行くことになるかもしれない」 上海から西安ってどうやって行けばいいんだろう。そもそも出張のついでに行けるところじゃないんじゃないか。と考えていると、彼女が不意に立ち止まって俺を目を真っ直ぐ見つめる。 「向こうに行っても会える?逢いに来てくれる?」 まさにちょうどそのことを考えていた。でも、正直かなり大変な話になりそうだ。何しろ西安には仕事がない、事務所もない。事務所を出す計画すらない。上海に住んでいればそこから通いもありだけど、日本から上海経由というのは結構大変かもしれない。 「考えるよ」 そう短く答えて視線をそらした。 |
4-68.期限の月
2008 / 07 / 25 ( Fri ) そして12月がやってきた。 街中がクリスマスのイルミネーションに包まれる。年の終わりでもあるし、彼女の生活を援助するのも今月が最後になる。再びつきあいを始めた日、俺たちはそういう約束をしたのだ。 あの時はきっぱりと言い切った彼女だったが、実際それに直面したらどうだろう。また金を出さないと言った時に、俺たちの関係は今まで通り続けていけるんだろうか。 いろいろと思うところはあるが、それは心にしまってメールを続ける。どうせ12月が終われば結果は出るのだ。今から騒いで今月の逢瀬をぶち壊しにすることもない。 いつもの様にトイレットペーパーを取りに上海支社に立ち寄る。 ついでにちょっと仕事をして、それから目指すは彼女のマンションだ。 冬至間近の太陽はそそくさと定時退社をしてしまい、あたりは急速に暗くなる。薄暗いスーパーマーケットの前を露天商の商品を踏まないように気をつけながら歩いてマンションの前に。今回はここを通りすぎて、隣のビルに向かう。隣のビルの1Fは美容院だ。ガラス張りの店内を透かしてみると、奥の方で髪をいじってもらっている彼女の姿が見えた。 ちょっと用事があるというSMSが来ていたので、もしやと思ったら大当たりだ。彼女は本当に美容院が好きだ。先日チャットで話した時には、数日に1回は行っていると話していた。髪を切るのではなく、洗って手入れをしてもらっているらしい。贅沢な話だ。一時期は確かに金に困っていたようだが、先月くらいから目に見えて贅沢に走るようになった。 店の前から彼女にSMSを打つ。 「もしかしてヘアーサロンにいる?」 「え?どうしてわかったの」 「君の事は何でもお見通しだよ」 からかいながら美容院の正面のガードに腰をかける。スーツ姿をコートに包み、足元にはキャスター付バッグを置いたまま、ガードレールに座って足をぶらぶらさせている。人通りはあるんだけど、薄暗いせいか、誰も俺のことを気にとめない。そうこうするうちに施術が終わったようで、店員が片づけをはじめた。早速またSMSだ。 「そろそろ終わった?」 「何よ、どうしたの一体?気味が悪いわ」 「瞳を開ければ君の姿が浮かぶのさ」 「何言ってるのよ」 普通に照れてやがる。瞳を “開ければ” って書いたのに気づいてないみたいだ。 しばらくすると清算を終えて彼女が店から出てくる。うつむいて歩く彼女の前に不意に立ちはだかり、「ニイハオ」と言う。はっと顔を上げた彼女が「呵~」と叫んだ。 とっさに出たその叫びは、多分中国語だった。 |
4-67.海賊版
2008 / 07 / 24 ( Thu ) 衡山路のしゃぶしゃぶ店で腹いっぱいになった俺たち。タクシーを拾って向かったのは海賊版DVDを売っているという店だ。 衡山路からタクシーで10分。上海の中心部に近いが、通りの筋が1本違うのか、街行く人も少ない。やや寂れたこの感じが、いかにも海賊版を売ってる店に相応しく感じた。きっとここから路地に入り、さらに地下にもぐったりするに違いない。 ところが予想は簡単に覆された。タクシーを降りてすぐに彼女が前を指差して、「ここよ」と言う。俺は店をみて愕然とした。その店は、人目をはばかる様子もなく、あまりにもあっけらかんと大通り沿いに店を構えていた。ネオンも派手だ。 二人でガラス扉の入り口から入る。そもそも入り口のガラスが透明で、中が丸見えなのだ。本当にこいつら悪いことをしてるという自覚があるんだろうか?と思ってしまう。これじゃ通りから丸見えじゃないか。でも、店内に置いてあるのは明らかに海賊版だ。値段は一枚 7RMBだそうだ。安い。 店の間口は狭く、通路二つ分しかなくて、その通路の両脇に棚が並んでいる。奥行きは結構深く、店内はそれでも意外に広かった。DVDだからスペースをとらないといこともあるが、この売り場を埋める品揃えは大したものだ。昔の名画から最新の映画DVDまで揃っている。米国の人気ドラマのDVDもある。日本のドラマのDVDもある。これが全部一枚 7RMBなんだから恐れ入る。 入り口に平積みの棚がある。ここには最新の映画まである。まだ日本でDVDが発売されていないほど新しい映画だ。店員が何事か彼女に説明している。彼女に聞くと、これは映画館でビデオカメラで撮ったものだそうだ。画像は悪く、新作がどうしても見たい人以外にはお勧めできないという。有難い話だ。違法の手口まで説明してやがる。 店員はレジに一人とその近くにもう一人。彼女が真剣に選んでいるのを見て、声をかけてくる。今のお勧めなんかを話しているらしい。珍しそうに店内を見て回る俺を警戒するかなとちょっと気になったが、かなりテンションは低く、全然俺のことなどどうでも良い感じだった。 結局彼女はここで、都合7枚のDVDを購入した。しめて49RMBなり。 俺にとっては珍しいアトラクションだった。違法DVDショップは島耕作の漫画で見たことあったけど、想像してたのよりもっと普通であっけらかんとしていた。 中国では「上に政策あれば下に対策あり」(上有政策、下有対策)という諺がある。だからKTVも楽しめるし違法DVDも手に入れられる。でもその一方で政治观念という言葉もある。要するにさじ加減、空気読めってことらしい。 この辺りのグレーゾーンの扱い方は、日本でいう阿吽の呼吸みたいなもんで、他の国の人にはなかなか理解しにくい。中国通を気取って分かった振りをするより、信頼できる中国人の友達を作る方が安全なんだろうなと思った。 |
4-66.日式火鍋
2008 / 07 / 23 ( Wed ) 帰りの車内、彼女はさすがに疲れたのか、眠いと言って肩に首を預けてきた。電車の時の様にボックスシートでなく、他の人の目も気にならないので、こちらから彼女の後ろに手を回して肩を抱いた。こういうところはなんだか凄く可愛いと思う。 そのままバスは高速道路をひた走る。秋も深まって気温が低いこともあって、くっついた身体から伝わってくる彼女の体温が心地よい。じきに日が暮れて街が夕闇に包まれてゆくのを見ながら、俺もいつしか眠りに落ちる。再び目を覚ましたのはそろそろ上海体育館が見えてくるかというところまで来たあたり。すっかり日が暮れて周囲は暗くなっていた。 帰り道は少し渋滞につかまったりして時間がかかったらしい、結局、観光センターに到着したのは夜の6時過ぎ。バスを降りると大通りに出てからタクシーを拾って、衡山路のしゃぶしゃぶ屋へ。ここは先日彼女が友達と一緒に来た店なんだそうだ。凄く美味しいし、食べ放題だから良いということだった。 前半はともかく後半部分の理由には納得だ。 この店のもう一ついいところは、お客一人あたり1個の鍋が用意されるということ。ミニチュアのしゃぶしゃぶ鍋みたいなもんなんだけど、完全に自分でコントロールできるというのはポイント高いですよこれは。大食いの中国人に蹂躙されず、俺は俺だけで美しい日本のしゃぶしゃぶを再現するのだ。 実際、鍋を分けて良かった。彼女のしゃぶしゃぶを完全に勘違いしている。出されたものを肉も含めてどさどさと入れて煮込むのだ。あっという間に灰汁(アク)が大量に出てきて、彼女の小鍋は魔女が薬を作ってるかのような様相を呈した。 見るにみかねて手を出す俺。おタマをとって鍋のアクをできるだけ丁寧にすくってやる。でも、彼女は礼も言わない。というか、ありがたみを理解してるのかな。すくったアクを入れた壷をじっと見ている。無礼なのか、料理そのものを理解していないのか微妙な反応だ。 「これは食べるもんじゃないからね」 と念を押す。 「美味しくないからすくってあげてるんだよ」 でも彼女はどっちでも良いみたいだった。肉やら野菜やらをどんどん煮込んでは食べてゆく。肉も牛肉だけでなく、ブタや羊も順々に頼む。サイドオーダーもさんざん食べつくし、最後はおぢやで締めてようやく満足した時には、入店から既に3時間が経過していた。 お互い自分のペースで満足して店を出た二人。時刻はまだ10時過ぎ。このまま帰るにはちょっと早い。どうしようかと聞く彼女に、俺は思いつきでこう提案した。 「海賊版のDVDとか売ってる店ある?見てみたいんだけど」 「いいわよ」 彼女は事もなげに頷いた。 |
4-65.水郷周遊
2008 / 07 / 22 ( Tue ) 昼食は中国の伝統的な雰囲気たっぷりのレストランだ。 半個室みたいな席に陣取り、食事開始。 旅行に行くと体力を消耗するのか、彼女の食欲はいつもより旺盛だ。普段は昼はほとんど食べないのに、今回も次から次へと注文する。小皿料理を沢山の種類注文してくれるとこちらも少しは楽しめるんだけど、4人前はありそうなスープを二つも注文したりするもんだから憂鬱な気分になる。 彼女の 「これ、美味しいわよ」 的お薦め攻撃を適当にかわしながら胃袋を温存して昼食が終わるのを待つ。お茶を飲んで一段落した後、店を出てまた水郷に戻ると、角の露店で彼女が何かを買っている。戻って来た彼女が持っているのは煮卵2つ。「あなたの分買っておいたわ」 と俺の返事もきかずに1個を押し付けてくる。 これだよ、これがあるから食事終わりで満腹になってちゃいけないんだよ。煮卵丸々1個だよ。 ついにすみきり一杯まで腹が満たされた俺たちは、最後に水路をボートで遊覧しようと考えた。ボート乗り場に向かうが値段は60RMB。あら、結構するもんだねぇ。 元来が6人乗りくらいの大きなボートなのだ、価格はボート1艘の値段なので、他の客と相乗りになれば一人当たりは安くなる。しかし、時間はもう午後遅い時間。ここに来たツアー客はもっと早い時間に水路観光をすませてしまったらしく、この時間にボート乗り場に興味を示す人は全然いない。 彼女はそれでも諦めずボート券売り場の外に出て誰かボートに興味を示す人がいないか探している。下手したら道行く人にボートを勧めかねない雰囲気だ。6人乗りに2人で乗るという事実が、彼女の “もったいないセンサー” を刺激したらしかった。しかし5分待っても客は来ない。 バスの出発時刻も近づいているので、俺がここで大岡裁き。 二人で乗ろうよ。いいよ、高くても。乗る価値はありそうだし。 ボートを二人で貸切にして水路を巡る。まぁでも悪くないよこれは。何しろ東洋のベニスだもの。水路から眺める町並みはまた美しく、そのゆっくりとしたスピードが心地よい。鵜飼みたいな人がパフォーマンスをして見せてる脇を抜け、木々に囲まれた水路に入る。中心部から離れて両脇の小道を歩く人もまばらになるところまで進み、そこからまたぐるっと回ってもといた太い水路に戻ってきた。 蘇州は良かったけど、あまりにも暑くて途中から耐久ゲームになってしまった。その点、ここは季節が良かったこともあってかなりいい感じ。それに、旅行をするたびに関係が何とはなしに深まってゆくのを感じる俺だった。 |
小姐写真館・別館
2008 / 07 / 21 ( Mon ) 長いこと小姐写真を集め続けて来たわけですが、その過程で「可愛い小姐」とは明らかに違うジャンルの写真が集まってくることもあります。本編や写真館に使えない写真は、破棄するのが基本なんですが、たまに、「どうしても捨てられない一枚」というのが出てきます。今回はそれをまとめて紹介します。
まず第一弾はこの写真。 これ、一見普通の写真なのですが、右側の背景でおじさんがくしゃみしてます。このおじさんの佇まいがいかにも中国を感じたんですが、さすがにこれは本編では使えない、ということでボツ(でも捨てられない)ということにあいなりました。 お次は4枚組みの写真。 最初の2枚だけ使うという手もあったんですが、やはりここは4枚セットで行かないと。 下段右の写真はちょっと猪木入ってます。なんだか楽しそうです。 楽しそうと言えばこんな写真も。 左側は所謂シモネタですね。もうやりたい放題ってな感じです。 右側の写真もふざけて撮った写真なんですが、役がハマりすぎて、人間じゃない生き物のように撮れています。どうなっているんだろうと、何度も見直してしまいました。クリックすると拡大するので、皆さんも是非アップでご確認ください。 お次はスポーツ系。 左側は、身体の柔らかさと人の密集度合いが中国を感じます。 右側の写真はちょっとわかりにくいですかね。ブリッジしている写真。何気なく上下逆にひっくり返してみたら、不思議な写真になりました。 もうバッチリですね。 ということで色気のない記事はこれで終了。 明日からはまた体験談の再開、日帰り旅行の続きです。 |
小姐写真113
2008 / 07 / 20 ( Sun ) 小姐写真の113弾。
今回は繰り返しになりますが、この小姐から。 第111弾で紹介した小姐です。その後、「中国美女大全」(http://mm-hunter.cocolog-nifty.com/blog/) というサイトを見ていたら同じ小姐を見つけて名前が判明しました。 Coie Lam (中文名 Lam Wai Shuen)、1985/9/6生まれ。 香港のモデルで、学生兼業だったようです。 身長162cm、スリーサイズ 81-58-86 新しい写真を見つけたので、本編(62話、64話)でも使ってしまいました。 数年前の動画はこちら。異様にテンション高いです。可愛いけどね。 http://jp.youtube.com/watch?v=jSEhvy0PdBQ 昨年の動画はこちら、大人になって少し落ち着いたのかな。テンションが普通です。 http://blog.hkcsl.com/p/b5/web/ViewBlog.jsp?msgid=37085 ちなみに、二番目のリンクを遡ると本人のブログになります。 で、「中国美女大全」で他にもいくつか名前がわかったのがいて、例えばこれ 梁寶叙ャ(Crystal Leung)、08月13日生まれ、香港出身、身長158cm コンテストで優勝してモデルになったそうです(何のコンテストだろ?) 名前が分かればこっちのもの。動画も見つけました。結構日本人ぽい感じですね。 http://tw.youtube.com/watch?v=W8-nulnEmsY ちなみに先のCoie Lam がブログを書いているフリーブログサイトは、他にも女の子がブログを書いています。全体的に香港色を感じるこのブログサイトから二人ほど小姐をピックアップ。まずは、本編61話で使った小姐から。 ハンドル名が、Fish魚。多分香港のモデルじゃないかな。 動画はこちら(URLコピーしてください)。でも、写真とちょっとイメージ違います。 http://blog.hkcsl.com/p/b5/web/ViewBlog.jsp?msgid=68825 2人目の小姐は、譚美兒*Tammy 。これも香港のモデルでしょうきっと。本編では62話と63話の最後で使いました。笑顔の多い小姐は写真をついつい使ってしまいます。 動画はこちら(URL貼ってください) http://blog.hkcsl.com/p/b5/web/ViewBlog.jsp?msgid=6501 ということで、長くなりましたが今日はここまで。 明日はちょっと変わった写真をお送りします。 |
4-64.購買行動
2008 / 07 / 19 ( Sat ) さて、船着場まで戻ると他のツアー客がそこここに腰を下ろして船を待っている。さわやかな秋の風が吹き抜けて木々を揺らす様が心地よい。やがてやってきた船に乗って元来た場所へ。陸に上がると電気三輪車で同里の街まで移動し、大きな門をくぐって街の中に入った。 同里は1千年の歴史を持つ街だそうで、江南農村風情の代表地として映画のロケにもよく使われている。建物の保存状態も良いらしい。七宝と同じ様にレストランとか売店が並んでいるが、一つ一つに風情を感じる。少し歩くと広い場所に出て、そこを右に少し歩くと水郷が見えてきた。 水郷の脇がずっと道になっていて、そこをゆっくり歩いてゆく。この水郷は凄く綺麗だ。東方のミニ・ベニスと呼ばれていると書いてあるサイトもあったけど、まんざらでもない。七宝よりもずっと規模が大きく、蘇州よりは小ぶりで返って両岸との風景の一体感が強い。ところどころに古い建物があって、文化財らしくいちいち金をとられる。一つ一つの名前は忘れたけど、多分一通り水路脇の建物は見たと思う。 文化財以外にも街自体が面白い、人二人がやっとすれ違えるような細い路地をずぅっと置くまで入ってゆく。時々屋根があったりして建物の中か外なのかわからないところを抜けて二人でずんずん奥に入ってゆくと、古びた家の前に出た。本当に誰かが住んでいるらしく、生活感が漂っている。逆にこっちの方がリアルなものを感じる。 二人で好き勝手に街中を探検して回る。また水路の脇まで戻って水路ずたいに歩いてゆく。ほぼ一周したところでまた街区に入る。と、一つの売店に彼女が興味を示した。 その店は書道用具の店だった。全然観光土産と関係ないじゃないかと思うんだけど、普通に店を開いている。彼女は店の奥の方に入り、筆をいくつかとっては試し書きをする。やがて店主が話しかけ、だんだん話が盛り上がってきた。かなりいろんな商品を吟味し、アドバイスを受けながら随分長いこと話し込んでいた。 やっと出てきた彼女に 「同里って筆で有名な街なの?」 と聞くと、 「そんなことないわ。ただ筆が欲しかったので丁度良いかと思って」 「何で観光地で筆なんか買うのかなぁ」 「だって筆ってなかなか売ってないんだもの」 今ひとつ俺の感じた不思議さが理解されず、話が噛み合わないまま、俺たちは遅い昼食をとるためにレストランに入った。 |
4-63.洋弓射的
2008 / 07 / 18 ( Fri ) バスはすぐに高速にのって一路西に向かう。同里は上海虹橋空港の西約80キロ、蘇州の南東約30キロというのでどっちかというと蘇州に近い場所になる。バスでの所要時間は1時間半ほどだ。 ツアーは同里周辺の観光がセットになっている。最初に大きな湖に到着。そこから船に乗り換えて島に移動。羅星洲といって元代から続くお寺がある。何度か立て替えられたらしく小奇麗な寺だ。 島の中では自由行動なので順路に従って勝手に観光。一通り境内を見た後で、奥の庭園を回って船着場に戻る。戻る途中でアーチェリーで射的をやっている露天商がいた。出たよ。この歴史的建造物とアーチェリーが関係ないことは素人の俺にだってわかる。もう雰囲気ぶち壊しだ。 しかし、彼女が興味を示し、やってみたいと言い出した。おいおい、やるのかよ。 蓼食う虫も好き好きというか、何というか。こういうのがいるから露天商も味をしめて商売を続けるのだ。しょうがないので彼女と二人で申し込む。弓1本と矢4本を貸してくれる。これで1元だ。彼女が狙って矢を放つが引きが甘いので的に届く前に失速して地に落ちた。全然駄目駄目じゃんか。とりあえず飛ばないと何にもならないのでしっかり引いて打てと指導する。 他の中国人ツアー客は黙って通路を通り過ぎてゆく。ある意味、恥ずかしい。と、もう一組この露店に興味を示した人々が現れた。出発時に席を取られて路頭に迷っていた西洋人のカップルだ。二人でごちゃごちゃしゃべりながら俺の横で的を狙い始める。女性の方は力がなくて全然飛ばない。男の方はというと、飛ぶんだけど全然的に当たらない。駄目駄目だな君たちは、本国から何千キロも飛んできてこのていたらくかよ。 俺がバシッと的に当てて見せると彼女が歓声を上げる。その声に振り返ったカップルの男の方が俺に英語で話しかけてくる。 「上手いなぁ、ねぇ、狙うときは片目をつぶってる?それとも両目で見てる?」 「片目をつぶるんだよ」 っていうか君、“狙う”って言葉の意味わかってるのか?考えなくても自然に片目つぶるもんじゃないのか、こういうのは。俺の彼女ですら片目で狙ってるぞ?? でも、彼はお構いなしだ。 「片目ってどっちを閉じればいいんだよ」 「左目だよ」 あー面倒くさいなもう。 だいたい何で閉じるほうの目を聞くんだよ。狙う方の目だろ普通は。 ふくれっ面をしながら振り返った俺を見て、彼女が弓矢を持ったまま爆笑していた。 |
4-62.同里
2008 / 07 / 17 ( Thu ) さて、翌日は日帰りの旅行だ。 上海近郊には古い町並みが残る観光スポットがいくつもあるが、今回訪問するのは同里(tóng lǐ)という街。M:i:IIIのロケで使われた街だ。観光センターがあって、ここから日帰りバスツアーが出ているんだそうだ。 朝9時前に上海体育館の脇にある上海旅遊集散中心に到着。中は人でごった返している。彼女がカウンターに歩み寄り、売り場を教えてもらうと、また別のカウンターに歩いてゆく。待たずに出発できるツアーがあったそうで、いつもと違って早足だ。こういう時はてきぱき動くんだよなぁ。 ちなみに料金は二人で240RMB。チケットを買うとバス乗り場に向かう。建物の裏側の駐車場止まっている沢山のバスから目的の一台を見つけると、タラップを上がった。バスはごく普通の観光バスだった。2×2の座席が並んでいて、シートの感じもあまり日本とは変わらない。中の観光客は大半が中国人だ。 一応、指定席なんだけど、座るのは皆いい加減。仕組みを理解していない人が適当な席に座り、日本だったらその席のチケット持っている人が後から来たらちゃんと注意してどかせるんだけれども、あまりそういう感覚はないようで、席が埋まっていると深く考えずに自分も適当な席に座ってしまう。 最後の方に入ってきた西洋人が自分の席を占拠されているのを見て困惑した表情であたりを見回す。交渉しようにも言葉が通じないので恐る恐るといった調子で空いてる席に腰を下ろした。 しかし不幸なことに次に来た中国人は厳格な性格で、その西洋人カップルに席を移動するように要求する。困り果てた彼らは自分の本来の席に戻って交渉。でも、そこの座っている中国人の正規の席も誰かが既に占拠している。通訳がてら西洋人を助けていた中国人の隣の席の人間まで口出しをして大騒ぎになっている。 と、横に座った彼女の肩を叩く大姐がいる。どうも席を替わって欲しいと言っているようだ。知り合いと近くになりたいらしい。もうお前らこの騒ぎの中でまだ勝手なこと言うのかよ。呆れる俺を尻目に彼女は快くその要求を受け入れ、後ろの方の席に二人で移る。「謝謝」と言いながら大姐が移動してゆくと、すれ違いに先ほどの外国人がやってきて俺たちの後ろの席に陣取った。 各自为政(gèzìwéizhèng)って言葉があって、意味は、「皆が自己流でさっぱり統制がとれないこと」とある。今回のケースはまさにそれ。こんな慣用句があるくらいだから、勝手なことを言う人を見ても、眉をひそめるような人もいない。ごく当たり前の光景なのだ。 そんなこんなで車内の混乱もどうやら一件落着。 バスはようやく出発した。 |
4-61.公共料金
2008 / 07 / 16 ( Wed ) 彼女はソニーの最新型デジカメを手に入れていた。日本のパッケージそのままで価格は1,000RMB。怪しげな入手経路だ。製品の機能そのものには全く問題はなかったが、別の意味で大きな問題があった。使い方がわからないのだ。説明書を読めばいいじゃないか、と言うと、顔をしかめて首を振る。 「だって、日本語わからないもの」 なるほど、そういうことか。でも、最近はメーカーのサイトで取扱説明書はダウンロードできるはずだ。早速パソコンを開いてソニーの中国サイトを開く。ユーザーサポートのページに取扱説明書のpdfファイルがあるのを発見したが、ダウンロードにはシリアルナンバーを入力しないといけない。なるほど、メーカー側もちゃんとわかっていらっしゃるようだ。 中国語版は難しそうなので英語版にする。日本のサイトには日本語版と英語版の取り扱い説明書が用意されているのでこちらからダウンロード。日本は性善説で動いている国だから取扱説明書は誰でも自由にダウンロードできる。しかしこういうことをすると共犯扱いになるのかなぁ。説明書のダウンロードは彼女本人でも考えればできることなのでいいと思ったけど、彼女の友達の紹介で俺自身がデジカメを購入するのは止めておいた。 さて、新ネタで一通り楽しんだ後は夕食を食べながら明日のご相談。折角なのでまた日帰り旅行に行こうということになった。相変わらず蘇州が俺たちの成功体験だ。七宝は今ひとつだったので、今度はもうちょっと遠めのところに行くとしよう。 長い夕食の後、別の店にいってアイスクリームを食べ、夜半前に帰宅する。何しろ明日は朝から出発なのであんまり夜更かしはできない。 帰ると最初の彼女がシャワーを浴びる。次いで俺の番。前回修理を頼んでもらったお陰でパッキンからの水漏れもなくなり、シャワーヘッドは本来の仕事をするようになった。いい気分でシャワーを浴びていたのだが、そこで異変が起こった。心なしか水が冷たくなったと思ったら次第に冷水に。おいおい、どうしたんだこりゃ。身体は泡だらけなので止めるわけにもいかない。冷水シャワーを敢行したが、11月の気温の中では厳しいものがあった。 外に出て彼女に状況を説明すると、 「ガス代払ってないから止められたんだわ」 なるほど、ガスが止まったから冷たい水になったんだ。 じゃぁ機械の故障じゃないよね。 ってか、払えよガス代。デジカメ買うよりそっちが先だろ。 |
4-60.デジカメ
2008 / 07 / 15 ( Tue ) 彼女はまた実家に帰っていたらしい。新しい父親と仲直りし、俺が生活を支えるようになってからは頻繁に実家に帰るようになった。学校のほうはどうなってるのかと思うが、まぁ家族と仲良くやるのは悪いことではない。 新しくデジタルカメラを買ったんだそうだ。自分で買ったらしい。デジカメの中古なんか買うもんじゃないぞと言うと、見せてあげるといって俺の座っているソファの脇の箱を取り出し、中からカメラを取り出した。黒いタートルネックの胸元が目立つ。すっきりした服を着ると女性らしさが際立つのでちょっとドキッとする。 渡されたデジカメをみてまたドッキリ。薄型で俺のよりも半分以上薄い。裏の液晶画面も大型で鮮明だ。黒いボディにソニーの文字が誇らしい。型番を見て確信した。こりゃ中古どころか最新型じゃないか。 「一体どうやって手に入れたの?」 「友達が仲介してくれたの、日本からの輸入品よ」 と彼女が言う。箱をさぐって説明書を取り出すと、それは日本語だった。輸入といっても正規ルートではなさそうだ。値段は1,000RMB。日本で売られている価格の半分だ。バッタ屋からの横流し品かな。 その友達に頼めばいつでも手に入るんだそうだ。あなたの分も今度頼んでおいてあげようか、などと言いやがる。彼女の言い方はあまりにも自然だった。ごく普通の中国人の若い女の子の友達関係の中で、こういった違法横流し品を手に入れる機会がごく普通にあるのかもしれなかった。 しかし何とも釈然としない。これは俺の国の製品なんだ、何故本国の人間よりも安い価格でこちらの人間が手に入れられるんだ。彼らが非道いのか、こちらが正直すぎるのか。 「お母さんの写真を見せてあげる」 といって彼女がメモリをから写真を呼び出す。籐製の大きな椅子に中年の婦人が座っている。歳をとっているが細身で凛とした顔立ちはなかなかの美人だ。 「ね、綺麗でしょう」 自分の親なのに臆面もなく彼女が自慢をする。 「私が小さい頃はもっと綺麗だったのよ」 さもありなん。やはりトンビは鷹を生まないのだ。離婚で二人目の旦那という彼女の母親の人生も、この美貌を見てから考えると別の見方になってくる。 「あなたの話もしたのよ」 「え?」 「大丈夫、応援してくれてるわ」 おいおい、一体どんな話をしたんだよ。 さりげないその一言に俺はどん引きしたが、彼女はそんな俺の様子に気づいていないようだった。 |
4-59.自販機
2008 / 07 / 14 ( Mon ) 浦東国際空港で珍しいものを見つけた。正確に言うと、日本では珍しくないが中国では珍しいもの。飲物の自動販売機だ。空港でチェックインを済ませてセキュリティを通る前の通路にごく自然に置いてあった。 自動販売機があるのは日本だけというジョークがあった。米国では壊して中の小銭を盗む人が多く、中国では人件費が安いので機械より手売りの方が安上がり、ということだった。もっともらしいけど、流通している硬貨に磨耗しているものが多いというのも理由の一つらしい。最近では徐々に増えつつあるらしく、これもその一つだ。多分ガワは日本のと同じで、お金を読み取る部分だけ付け替えているんだろう。 多少の値段の違いはあるが1個平均して10RMBだから日本よりも高い。よく見ると午後の紅茶が500mmペットと350mm缶で同じ値段だったり、何気なく酎ハイやビールが混じっていたりとか、結構ツッコミどころも多い自動販売機だった。 さて、改めましてまた出張。 いつもの様に、支社で仕事をして、最後にトイレットペーパーを1本くすねて会社を出る。タクシーで彼女のマンション付近に着く頃にはもう辺りは暗くなってきている。さらに日が短くなったなぁと思いながらマンションに入り、エレベータで上って彼女の部屋に。ノックするが反応がない。もう一度ノック。妙につるつるした壁材の白ずくめの廊下にノックの音がこだまする。でも返事はなし。戸口の前からSMSを送ると、今家に戻る途中だという。 仕方ないのでエレベータで一旦下に下りて、時間をつぶす。前のスーパーは相変わらず人でごった返している。店の前の歩道沿いに露店がいくつか出ている。よく見ると売っているのはアクセサリとか小物の類。スーパーの売り場の一部かと思ったら全然関係なく、人が沢山いるから露店商が集まっているだけのようだった。しかも彼らは明かりを持っていないので、日が暮れて暗くなった今となっては商品も良く見えない。というか、存在そのものがよくわからない。誰か座り込んでる、と思ったら前に商品を並べた露店商だ、てな感じだ。 暇つぶしに露店を一通りチェックしてからマンションに戻る。先ほどと同じようにエレベータを上がり、部屋の前に行きノックを3回。さらに覗き窓から逆に中を覗き込むと、人の動く気配がしてドアが開いた。 入って再会の抱擁。毎回同じ儀式を終えると、荷物を解きながら週末の相談。 さて、今回は何をして過ごそうか。 |
小姐写真112+(検索語)
2008 / 07 / 13 ( Sun ) さて、ここでまた小姐写真のコーナーです。今回は御題をつけての話。「検索語」についてです。
ちなみに小姐は53話の最後で使った小姐。 アクセス分析ツールで見ていると、どんな検索語でこのページに飛んできたのかがわかります。6月で言うと多い順にこんな感じ。写真での食いつきが結構多いんです。 1位「小姐」 2位「筆談小姐」 3位「小姐 写真」 4位「KTV 小姐 写真」 5位「中国 小姐 写真 」 略称で検索してくる人もいます。 「筆談小」 とか。 最初はどこの小学校かと思いましたけど、多分「姐」の出し方がわからなかったんでしょうね。”しゃおちえ”で変換できませんしね。 ちなみに、”ねえさん”とか”あねさん”で変換すると出てくると思います。 内容系で検索している人もいます。いろんな切り口があるもんだなぁと思います。 「北京 夜の帝王」 「KTV 楽しみ方 中国」 「KTV 持ち帰り 体験記 上海」 「中国 本番 体験 小姐」 「やった 小姐」 「小姐 美人局」 「本番強要で罰金」 並べてみると何だかストーリーみたいに見えてきて、人の煩悩というか、軌跡というか、いろいろ考えさせられます。 「中国 萌え」 「小姐 純愛」 「本気モード小姐」 「カラオケ小姐 はまった」 「彼がソープ」 「小姐 恋愛 手口」 「小姐 騙された」 時々、何故この検索語でここに来てしまったんだろう、というものもあります。 いや、そもそも何を探してるんだろう、というのも。。 「電池 切れそう 彼女」 「太った女 コーディネート」 「改造人間 女」 「ペニスがついた処女」 「小豚の写真館」 「おしゃれな小便器」 「宇宙船 デザイナーズマンション」 ま、どういう経緯であるにせよ、出会ったらそれは人の縁。 つまらない馬鹿話ですけど、巡回先の一つに加えて貰えると有難く思います。 今後もどうぞご贔屓に。 ということで、明日からまた体験談の再開です。 |
4-58.未明高脂
2008 / 07 / 12 ( Sat ) ボーリングのスコアは二人とも110~120くらいで下手同士結構良い勝負だ。 2ゲームやって一勝一敗になったところで彼女が疲れたと言い出した。後かたづけをしながら、冗談めかした口調でからかう。 「さっきは朝まで14ゲームやりきるって言ってなかったっけ?」 「確かに無茶だったわね」 “お得”魔法が解けた彼女が冷静に振り返って笑う。まぁ、わかれば良いんだよ。 一通り遊びつくしたのでまた店を出る。時刻はもう午前2時頃だ。さすがの衡山路も徐々にネオンが消え、賑わいがなくなりつつある。二人でぶらぶらと人気のない通りを歩く。繁華街の外れまで歩いて本当に何もなくなってきたので、また河岸を変えようとタクシーに乗る。 「さすがにもう店ないんじゃないの」 と言う。前にいた北京にくらべれば上海は都会だし、深夜まで賑わいがあるが、それでも夜中の2時を回ると街はひっそりとしているように見えた。 「新天地に行こう」 と彼女が言う。 「あそこは1時頃で閉まっちゃうんじゃなかったっけ」 「新天地の中じゃなくて外の店があるわ」 そういえば、深夜営業の台湾料理屋があった。よく行く店だ。 果たして夜中の2時半を回ってもその店は明かりが煌々とついていた。意外に客も入っている。二人で奥の個室みたいになっているところを陣取る。メニューを見ながら彼女がつぶやく。 「何食べようかな」 食べんのかよ。 本当にこの小姐の身体はどうなってるんだ。12時前までいたカラオケ屋でさんざん食事をしていたのに、ボーリングしただけでまた食べるなんて。ずうっと満腹状態を続けてないと気がすまないんだろうか。こんな生活を続けてたら肥満か糖尿になってしまうんじゃないだろうか。 「いいじゃないの」 と彼女がふくれる 「お腹が空いたから食べるの。何で物事を単純に考えられないの?」 そして店員を呼ぶと注文を始めた。 彼女に注意しながらも、俺の方も実は腹が減っていたので麺類を注文する。まぁ俺はカラオケで食事しなかったから普通の夜食なんだけど。 彼女の機嫌とりついでにどの麺がお奨めかを聞いてみる。メニューをしばらく吟味していた彼女は、微笑みながら上から2番目の麺を指さした。 「これがいいわ。こってりしていて美味しいわよ」 こってりしていて美味しい、ねぇ。 頭の中でリピートする俺。いやいや、こういう時は考えちゃ駄目だ。 時計を見ると時刻は深夜3時。 脂ぎった上海の夜はようやく更けようとしていた。 |
4-57.誓不甘休
2008 / 07 / 11 ( Fri ) 夜半過ぎ衡山路。俺たちはゲームセンターに遊びに来ていた。 まず近づいたのはビデオゲーム。2人同時にプレイできるガンシューティングゲームなのだが、一方が壊れているので彼女だけで孤軍奮闘。コンティニューを数回繰り返したがそんなに長時間もたずに終了。ま、準備運動には良かったかな。 次は何をしようか。卓球という選択肢もあるんだけど、中国人との卓球勝負は勝負になる気が全然しないのでパス。代わりにボーリングをやろうという話になった。受付で申し込みをして、受付裏側のカウンターで靴を借りる。彼女は靴のサイズが合わないといって何種類かを持ってこさせて試している。 先に靴を履き替えてレーンに向かおうとした時、受付カウンターの中にいた小姐が声をかけてきた。説明しながら小冊子の様なものを見せてくる。またクーポンだ。流行なのかな。淡泊な俺は「不要、謝謝」と言って先を急ぐが、今度は小姐は遅れて歩いてきた彼女に売り込みをかけた。 しばらく店員の話を聞いていた彼女だったが、やがて店員を連れてこっちに歩いてくる。クーポンを買いたいって顔をしてる。 しかし、今回のクーポンはあまりお買い得とは思えなかった。最初に結構な金を払わなくてはならない。それを回収するまでには相当通う必要があるのだ。 「高いよ、一体何ゲームやったら元がとれると思う?14ゲームだよ」 「14ゲームなんてすぐじゃない。今日中にだってできちゃうわ」 「そんなわけないだろ」 「できるわよ、朝までここでゲームしてりゃいいのよ」 「そんなことしたら身体ボロボロになるよ」 もうこうなってくると損得勘定を判断しているというより、「お得」の言葉が麻薬の様に作用しているとしか思えない。彼女のすぐ後ろには店員が立って、俺たちの話の行方を見守っている。今や彼女は店員の代表だ。 口論はまだ続く。店員はずっと彼女の後ろに控えている。騒ぎを聞きつけた店員がまた一人、こちらに寄ってきた。状況的には多勢に無勢でプレッシャーを感じる。金を出すとはいっても数十元で大した額ではない、譲ってしまった方が楽になるのは事実だ。 でも俺は譲らなかった。自分は一旦反対したし、相手の説明は合理的じゃない。理は我にある。ここで折れるのは正義への背信なのである。 誓不甘休(shìbùgānxiū)という言葉があって、これは「絶対あとにはひくもんか」という意味だそうだ。今回の俺はまさにこんな気分だった。 だんだん声が大きくなるが、俺はガンとして譲らない。4、5分口論を続けていると、やがて店員が諦めて持ち場に戻ってゆく。そりゃそうだ。彼女たちだって仕事がある。クーポン一つ売るのにそんなに時間をかけてはいられない。 店員たちを後ろ盾に俺に購入を迫っていた彼女だが、こうなるとハシゴを外されたも同然、急速に腰砕けになる。そして実は意外に崩れ始めると弱い彼女は、ほどなく負けを認めるに至ったのだった。 俺の粘り勝ちだった。 |
4-56.衡山路
2008 / 07 / 10 ( Thu ) 復興公園のカラオケで土曜深夜を過ごす俺たち。 この店、何が良かったといって、食事が食べ放題なのだ。同じフロアに料理を沢山並べた部屋があって、バイキング形式で何でも食べられる。食べ物から飲み物まで何でも、いくらでも、だ。 彼女にとってはまさにパラダイス。おあつらえ向きとはこのことだ。 さっさと1、2曲歌った後は、早くも食事モードだ。長いこといなくなったと思ったら皿一杯の料理を盛ってきた。再び姿を消し、今度は飲み物。俺の分まで持ってきてくれた。と、店員が後を追って入ってくる。手には温麺の器を持っている。そんなものまであるのかこの店は。っていうか、店員が何故手伝ってるんだ。 で、結局彼女はずっと食べている。あなたも食べたら、と薦められるが俺は夕食で十分なので食べる気にはならない、歌うからいいよ、と誘いを丁寧に断る。さすがにカラオケ屋にいるのでこの断り方は極めて自然だ。俺が歌って、君が食べる。まさにディナーショー状態だ。でも正直、彼女が俺の歌に興味を持っているとは思えなかった。 結局この店には3時間もいた。 腹を一杯に食べて大満足の彼女と、場末で客に聴かれない唄を歌うクラブシンガー気分をたっぷり味わった俺はふらふらと店を出る。 腹ごなしに歩きたいと言うので、向かいの公園の中に入ってみた。薄暗い通路を歩き、街灯の明かりが届きにくいベンチを選んで座る。すぐに彼女が身体をもたせかけ、こちらにタコチューの様になった顔を向けて目をつぶる。 「あれ、public space でそういうことしないんじゃなかったっけ」 「いいのよ、公園の中はpublic space じゃないんだから」 どういう理屈なんだそれは。 まぁとにかく、アベックらしくベンチでいちゃいちゃする。まぁこれはこれでいい感じだ。でも、流石に緑の多いところでは夜の冷え込みが厳しい。薄着だったこともあってだんだんシャレにならなくなってきたので、どこか室内に移動しようという話になった。 タクシーで衡山路に移動。時刻はもう夜半過ぎだ。タクシーを降りた目の前のビルを見上げると、ゲーム施設が集まったようなビルだった。 「ちょうどいい。ここに入ってみよう」 ボーリングやらビリヤードなんかができるフロアまで上がる。まぁ日本の繁華街にもよくあるような作りだ。ボーリングとビリヤードに卓球、そして手前の方にはビデオゲームが数台並んでいる。 さすがに深夜だということもあって、中は閑散としている。それぞれのコーナーに数人の中国人カップルがいる程度だ。さすがに西洋人はいないね。観光で来てこんなところで遊ばないよな確かに。さて、じゃぁ何から遊びますかね~。 上海の長い夜はまだまだ続く。 |
4-55.復興公園
2008 / 07 / 09 ( Wed ) この週末はどうやら夜遊びモードだ。翌日の昼間はぐうたら過ごし、夕食が終ったあたりからエンジンがかかってくる。 まずは復興公園のカラオケ。彼女が友達から紹介されたらしいが、初めて行く店のようだった。店内はビッグエコーとかなり違う。洋館っぽい作りになっていて、1階が大広間の吹き抜けになり、中央の階段を上がって2階に上がる。 最初にコンパクトな作りの二人部屋に案内されたが、彼女は部屋が狭すぎると文句をつける。彼女の我が儘に店員が嫌な顔をするんじゃないかと思ったが、全然問題なく、7-8人が使うような大部屋に案内された。例によってだんだん店員と仲良くなってきている彼女が振り返って俺に言う。 「ここにしましょ、料金は2人部屋のと同じでいいって」 何でも交渉してみるもんなのかねぇ、この国では。 案内してくれた店員がカラオケの操作方法について彼女に指導している。にこにこと笑顔で説明し、彼女の冗談に笑い声が出る。中国人は店員は笑わないなんて誰が言ったんだと思う。 店員が出ていくと、彼女もトイレに行くといって部屋から出ていってしまった。入れ替わりに今度は男の店員が入ってきた。何事かを売り込んでくる。手にもっている冊子を薦めているようだ。見てみると、クーポン券の束。これを買えば値段がお得になるということらしい。中国語が通じないので彼もやりにくそうだ。俺の方も、この店にまた来るかどうか分からないので「不要、謝謝」と断っていると、彼女が戻ってきた。 男が今度は彼女に売り込みを始める。中国語で何か返事をしながら説明に聞き入る彼女。しばらくすると、こちらを振り向いて 「これ、買いましょうよ」 「クーポンでしょ、いらないよ。次にいつ来るかどうかわからないし」 でも彼女は諦めない。 「凄い得なのよ、また来ることにしたらいいじゃない」 「でも余計な金がかかるんだろう」 「お金はいるけど、今日からすぐに使えるから、差引はほとんどゼロになるって」 弁舌さわやかにクーポンを売り込む。自分が金を出しているわけじゃないのに、こういうお得情報自体、彼女の琴線に触れるらしかった。店員と一緒になって薦めてくるのに五月蠅くなり、まぁ持ち出しになる訳じゃないからいいやとOKする俺。 「良い判断だわ」 と褒める彼女。なんだか店員みたいになってるよ君は。 |
4-54.徹底按摩
2008 / 07 / 08 ( Tue ) さて、秋も深まった上海に再び訪問した俺。 いつもの様に上海支社で仕事をして、トイレでトレットペーパーを1巻こっそり盗んだ俺は、タクシーをとばして彼女のマンションに直行だ。 時間は金曜日の夕方。Uターンさせるのが面倒なので道路の反対側でタクシーを降り、横断歩道を渡って、向かいのスーパーの前の人ごみを抜ける。周囲はもう薄暗くなっていて、行き交う人の顔もよく見えない。ここ最近本当に日が短くなってきた。 彼女の部屋で荷物をほどき、まずは夕食。そして腹ごなしに街中をぶらぶら歩きながら次にどうしようか相談だ。近くに公園があって小さい池がある。池の周りのベンチや手すりにたくさんのアベックがたむろしていた。その横を二人で手をつないで歩きながら、彼女がアイデアを出す。 マッサージはどう?、この近くに人気の店があるの。 店に行くと1時間待ち。さすが人気店。二人で近くのバーのオープンテラスで時間つぶし。秋は深まっているけど今日は比較的暖かいので外気が気持ちいい。 夜半近くなって徐々に賑わいがなくなる町並みを眺めているうちに時間になった。 マッサージ店の中は薄暗い。廊下を入ると左右に部屋があり、それぞれに6台ほどのベッドがあり客がマッサージを受けている。左側2つめの部屋の暖簾をくぐって中に入る。そこの客は俺たちだけみたいだ。 ベッドは病院の診察室にあるような硬い台のようなもので、高さはちょっと高めだ。まず上着を脱いで差し出されたハンガーにかける。お次は差し出されたカゴにポケットの中の物を全部出さなくてはならない。携帯から財布からパスポートから、あんまり見ず知らずの人に預けたくないものを全部出して渡す。そしてベッドに横になる。彼女は隣のベッドだ。 マッサージ師は男だった。ほぼ暗闇の室内で、ほとんど会話がないまま全身マッサージが始まる。座った状態で足や肩から腕、そして横になって腰から背中といった感じ。結構ハードなマッサージだ。たっぷり2時間にわたる施術を受けて全身がほぐれたところで終了。 ふと横を見ると彼女は爆睡していた。マッサージ師が困ったような声で「小姐、小姐」と声をかけている。すんませんねーこの娘、一旦寝たらなかなか起きないんですよ。 でも今日はまだ良かった。目を閉じて寝てる。 マッサージ師を押しのけて、俺が手荒に彼女を揺するとようやく目を覚ました。 苦笑する店員を尻目に、俺たちは店を後にしたのだった。 |
小姐写真111
2008 / 07 / 07 ( Mon ) さて、小ネタが少し続いた後でまた小姐写真で一服です。
今回は一人の小姐の特集です。 主に第三部でよく使ってました。第10話とか、29話とか、59話とか。 特徴的な顔なんで、なるべく写真うつりの違うのを使いましたが。 第四部では、34話と50話。この場合はどっちも持ち味出てますね。 背景から考えて中国とか台湾じゃないかと思うんですが、もし日本とかで結構有名な人だったらごめんなさいです。 ということで、明日からまた体験談再開。 今度は久しぶりに上海市内でちょっとひと遊び、の巻です。 |
4-53.通信手段
2008 / 07 / 06 ( Sun ) さて、この頃になってきてかなり通信手段が整備されてきた。 まずはSMS。 それまで中国のSMS転送サービスを使っていたんだけど、どうも調子が悪くてちゃんと読めないことが多かった。そもそも説明文やコース別選択画面なんかが全部中国語なので今ひとつよくわからない。一応、使えるところまでは持ってくるんだけれども、トラブルの時とか、もっと使い勝手を良くしたいと思ったときには、言葉が分からないのはやはり不便なのだった。 そこで目をつけたのが来々メール。サイトが日本語なのでバッチリ理解できる。使い勝手もいい感じ。メッセンジャーでチャットはできるけど、オンラインになっていない時に連絡をとるのに凄く便利だ。というわけで、1ヶ月後には定額制プランに切り替えて、俺たちの愛用サービスになった。 もう一つの進化は携帯電話。 それまでの携帯は日本国内専用だった。中国では現地で買ったGSM携帯を使って連絡を取り合う。でも、そうなると今度は日本との通話ができないので、空港で海外携帯電話をレンタルしていたのだ。結局、3台の携帯を持たなければならなくなって結構面倒くさかった。 そこで今回、新しい携帯に買い換える時に海外ローミングができる携帯にしてみた。ローミングなので料金は割高なんだけど、そもそも使用頻度がそんなに多くないから問題はない。中国内では彼女と会うまでしか使わないのだ。会ったら寝ても覚めても一緒だからね。 また、日本からの電話がそのままの番号でとれるのもいい。週末に上司から電話が入ったりしても安心だ。街の音が聞こえない静かな室内だと、俺が上海にいることを相手が気づかないまま電話を終えることもあった。もちろんメールも日本と同じように読める。ケータイサイトも普通に使える。 さらに、来々メールの登録アドレスと携帯のアドレスにしておくと、上海の地でも、日本の携帯と彼女の携帯とでSMSを交し合うことができるのだった。ということで、1年以上使ってきた中国ローカル携帯はお役御免。レンタル携帯も借りなくなって、1台の携帯で日本も上海もこなせるようになった。 便利だし、費用的にもそれほど高額でなかったので安心しきっていたら、ある月、請求がとんでもない金額になっていて目をむいた。 よく調べるとパケット料が凄い。携帯で撮った写真を上海から送ったんだけど、解像度の高い写真だと1枚数百kbするので、送るのに数千円かかってしまうのだった。 |
4-52.設備不調
2008 / 07 / 05 ( Sat ) 秋に入って、だんだんシャワーが寒い季節になってきた。 彼女の家のシャワーヘッドはどんどん崩壊が進んでゆく。最初に来始めた頃からパッキンの調子が悪くてシャワーヘッドとホースの接続部から1筋2筋、水が吹き出ていたが、今年の夏前にはそれが何筋も噴出すようになった。そして今では問題の接続部から一筋どころかしっかりとした水流となって四方八方に噴出している。シャワーの指向性というのがだんだん曖昧になってきて、どこに向けてもあんまり関係なくなってきた。 修理した方が良いとは夏前から何度か提案していたんだが、彼女の反応は鈍かった。マンションのオーナーに言えば設備関係の修理はしてもらえるらしいんだけど、修理代金をどっちが持つかが曖昧なので、あまりそういう話をしたくないらしかった。そういえばドアのベルも音が鳴らなくなったまんまだ。ワンルームのマンションだからドアはノックしたら全然問題ないけれども、シャワーヘッドの一件はちょっと種類が違う。 これから寒くなる折にこれだとちゃんとシャワーを浴びれないので、修理代金が必要だったら出すからとせっついたら、ようやく修理の電話をしてくれた。 結果的には修理代金はオーナー持ち。ま、やってみればこんなもんだ。 もう一つ困ったのがトイレットペーパー。 これは設計上の問題で、便座の後ろの壁の狭いスペースに据え付けられているもんだから、座ったままだと物凄く取りにくい。しかも固定が結構ゆるいので、紙を引っ張ろうとしているうちにロールごと出てきてしまって床に落ちるということもたびたび。トイレはシャワーブースの隣で、特にシャワーを使った後なんかは床が濡れているので、落とすと一発で水を吸って駄目になってしまう。 業を煮やした彼女はトイレットペーパーを使わないという暴挙に出た。 用を足したらシャワーを浴びて洗う、という風にしているらしかった。しかし、俺はそれは嫌だった。大体ウンコついてたらどうすんだ。排水の網に詰まるじゃないか。 まぁでもそんな議論してもしょうがないので、俺は自分用のマイ・トイレットペーパーを持参することにした。 残った分は彼女の家に置きっぱなしにして帰るんだけど、シャンプーと違って彼女はトイレットペーパーの方はあれば使ってしまう。これは卑怯だと思うんだけど、どうしようもない。 結局俺は、彼女の家に行く前に上海支社のトイレから1ロール頂戴するのが習慣になってしまった。 |
4-51.上海ロケ
2008 / 07 / 04 ( Fri ) さて、ゆっくり食事を楽しんだ俺たちだが、まだ夜は宵の口だ。七宝が意外に疲れなかったこともあってエネルギーも十分余っている。何をしようか、何て話をしたが結局また映画でも見ようという話になった。 再び新天地に行き、奥のビルの中に併設されているシネコンに足を運ぶ。ちょうど、M:i:IIIが上映中だった。いいじゃない、これを見ようよ。前回のと違ってこれならメジャータイトルだから楽しめるし、帰って友達にも話ができるよ。 彼女がチケットカウンターで話を聞いている。 「時間がかなり空くみたいだけどどうする?」 「あれ、すぐに始まるんじゃないの?」 「あれは中国語吹き替え版なんだって」 「じゃ、待とうか」 ということで、チケットだけを購入して再び時間つぶしに1階に戻る。新天地内にあるCJWに入り、音楽を聴きながら時間をつぶす。 「あ!あの人知ってる」 彼女が急に叫ぶ。 香港の映画女優が店内にいたらしい。お忍びで来ていたのかな。周囲の客も気づいたらしく、様子を伺っている。ばらばらとサインをねだる人が現れ、女優も応対しているが、そんなに人が殺到するようなことにはならない。比較的平穏なまま、しばらくして店を後にしていった。 夜の11時前になってようやく映画の開始だ。さすがにハリウッドのメジャータイトル、前回見た映画よりはかなり面白い。相変わらず英語は聞き取れないが、アクション映画だから言葉じゃない部分も多いし、中国語字幕の力を借りれば大体のストーリーは理解できた。 唯一の問題は、主人公のイーサン・ハントの名前が字幕で伊三と表示されること。日本語的にはこれは「いぞう」と読んでしまう。で、司馬遼太郎原作『人斬り以蔵』を連想してアタマが時代劇モードになってしまうのだ。俺だけかな。 彼女は彼女で違うところで大興奮だ。この映画、後半の舞台が上海なのだ。ビルの上のアクションではビル名を当ててるし、別の場所への移動シーンでは、この短時間でそんな距離動けるわけないとかツッコミを入れている。 最後は上海郊外の古い街で人質を助けてボスキャラと対決、てな感じになるんだけど、そこのシーンでも大興奮。時代考証がおかしいって。上海郊外の街で、道行く人が皆人民服を着てるなんてあり得ない。ま、そりゃそうだ。 最後のシーンでまた大興奮。 「見た?今の。後ろの川で赤ちゃんを洗っている人がいたわよ。あり得ない!」 ちゃんと映画見てんのかなもう。 |
4-50.交渉次第
2008 / 07 / 03 ( Thu ) 帰りは彼女の提案でタクシーで上海市内まで。俺も同感だ。このくらいの距離だったら大したことないだろう。そもそもタクシー代は日本と比較したらやたら安いのだ。時刻は5時前。七宝には1時間半くらいいた計算になる。 タクシーで行くと結構すんなり市の中心部が近づいてきた。やっぱり近い。最初からタクシーにしておけばよかったかな。徐々に日が陰ってゆく中で、彼女と話をする。夕食何食べようか。七宝でさんざん食べていたので食べれるのかなぁと思いながらも、この時間ですることといったらまずは夕食なのでその話をせざるを得ない。 話をしているうちに彼女が突然何かを思い出したように叫ぶ。 「そうだ、ベトナム料理なんかどう?」 中国でASEANの料理という設定は微妙だけどベトナム料理自体は好きだ。彼女の話によれば上海市の中心部に行く道すがらに結構良い店があるんだそうだ。そう、じゃぁそれにしてみようか。最近料理がややマンネリ気味だったもんね。 彼女が道順を指示してレストランに向かう。指示というより相談といった方が近い。いろいろと会話をして、二人で共通の結論に到達したような感じだった。で、タクシーを降りて店に向かう。ははぁ、なかなかおしゃれな感じじゃないですか。 しかし残念ながら時間が早かった。まだ店は準備中だ。 しかし彼女は諦めず交渉し、1階の隅の席で待たせて貰えることになった。しかも飲み物と簡単な料理まで付いてくる。ビールを頼んで、つまみ代わりに生春巻きなんかを食べながら、本式の開店を待つ。 開店時刻になると店員が話しかけてきた。もっといろんな料理を注文できるらしい。彼女が店員に何かを相談している。しばらくすると、その店員が階段を上って2階に上がり、また戻ってきた。大丈夫だ、というようなことを言っている。 彼女が俺を見て言った。 「席を移りましょ。2階の席の方が落ち着いて話ができるみたい」 そして2階の隅の席に移る。テーブルの上の飲み物や食べ物は当然ながら店員が全部運んでくれる。その後見る間に客が増え、賑やかな雰囲気になったが、俺たちが確保した席はその喧騒からちょっと隔離されたような感じの隠れ家的スペースになっていて、ゆっくりリラックスしながら食事を楽しむことができたのだった。 交渉次第で何でもできる中国万歳、というか、これは彼女の性格によるところが大きいかな。 |
小姐写真110
2008 / 07 / 02 ( Wed ) ここで再び小姐写真館のコーナーです。
第110弾の今日は、ちょっと趣向を変えて動画特集です。 http://tw.youtube.com/watch?v=Q4OjYNOht2A http://tw.youtube.com/watch?v=VcttKSFA7ec Youtubeの台湾のサイトに行くと、中国小姐が踊っている動画を沢山見つけることができます。写真もいいけど、動画は動画でまたイイ感じです。 http://tw.youtube.com/watch?v=2oR76haERbs http://tw.youtube.com/watch?v=4v-PpsYQCUQ 欧米だと女の子が一人で何か喋っているような動画がありますが、台湾はそういうのはなくて、踊り系が結構多いです。小姐のプロフィールを見ると在中国の小姐も多いようです。性感(Sexy)系ってことで顔を出さずに身体だけってのも多いんですが、まぁそれはちょっと違うので除いてます。ま、関連動画で辿れますけどね。 http://tw.youtube.com/watch?v=NrntuTdFg5w http://tw.youtube.com/watch?v=Ha--Cr7vu7M 香港にもYoutubeのサイトがありますが、こちらはTVのキャプチャが多くて素人っぽいのが少ないので対象外にしました。中国のいいのは、こういう小姐が自宅の部屋で踊ってるというところでしょうか。結構踊りなれててキレがいい小姐もいますね。 http://tw.youtube.com/watch?v=JV7ZMAZEUcE いずれにしてもまぁ、新しい楽しみ方ということで。 動画で遊んだ後は、明日からまた体験談の再開です。 |