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4-11.靴的災難
2008 / 05 / 17 ( Sat )
CN4-11

家に入って扉を閉める。そして靴を脱ぐ間もなく彼女が抱きついてきた。そのまま長い抱擁が続く。彼女は俺の方に顔を押し付けて、両手で俺の身体を抱きしめて離さない。俺もそれに応えるように彼女の身体に手を回す。ウエストに手を回して華奢だけど引き締まったその感触を感じたときに、改めて彼女の存在を懐かしく感じた。春とはいえ日が陰ってくると気温は急に下がり始める。抱き合ったまま相手から伝わってくる体温が心地よく感じられた。

薄暗い室内で数分間抱き合った後で、ようやく身体を離す。部屋に入り、荷物を解き、スーツから普段着に着替えながら近況報告をし合う。

たった数ヶ月会わなかっただけなのに、彼女の状況は大きく変化していた。昼の仕事のことを聞くと、彼女は得意そうに名刺を出して見せた。表面は中国語だが、裏返すと英語だ。“Interpriter”という肩書きが誇らしそうだ。名前は当然本名だろう。苗字は以前俺が勝手に引き出しを開けてみつけたパスポートに書いてあったものだ。

「これが中国名なんだ」
「そう」
「下の名前は何というの?」

名刺には英語名が書かれている。これは俺も知っている名前だ。でも、これを機会に中国語の本名(下の名前)を聞きだしてみたかった。彼女は俺の方をまっすぐに見てある単語を発音した。俺は近くのメモを引き寄せて漢字を書いてみせる。

「あら、よくわかったわね」
「あ?合ってた?」

とぼけて見せたが、その漢字は俺が昔見たパスポートに書かれていたものだ。初めて本名を言ってくれた。俺的には何となくポイントが高い会話だった。

早速夕食に出かけようということで靴を探す。あれ、俺の靴がない。カジュアルな靴はこちらで買って彼女に家に置きっぱなしにしておいたはずなのに。

「靴はどこに行った?」

と彼女に聞くと、

「彼は出て行ったわ」

と一言。

は?彼って誰ですか?出て行ったって?? 靴でしょ??

彼女がさらに話す。

「去年の年末、SMSで喧嘩をしたでしょ。その時あんまり腹がたったんで、彼につらくあたってしまったの。そしたら旅に出てしまったのよ。あぁ、かわいそうなあなたの靴、今どこで何をしているのかしら?」

最後はおどけて歌うような口調で話を告げる。
おいおい、いったい俺の靴に何をしたんだよこの女は。

聞くまでもなく、怒りに任せて俺の形見である靴に当り散らしたのは間違いなかった。


CN4-11b



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テーマ:中国 - ジャンル:海外情報

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コメント
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私の場合はすべて捨てられていました。
靴、洋服、ゴルフバック等。
悲しいかな物に八つ当たりするのはやめて欲しいですよね。トホホ。
by: 単身駐在 * 2008/05/19 11:45 * URL [ 編集] | page top↑
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